洋服を引き継ぐ~古きよきものを継承する~

 ヨーロッパでは、ひとつの物を長く大切に使う文化が根付いています。特に洋服やバッグ、コートなどは、親から子へ、子から孫へと代々引き継がれることも少なくありません。アンティークの洋服を現代のファッションに上手に取り入れたり、長年愛用できるブランドのアイテムを、修理をしながら大切に使い続ける姿勢には学ぶことが多いですね。

私たち日本人も、実は「物を大切にする」精神をしっかりと持っている民族です。にもかかわらず、近年ではプチプラや大量生産のファッションに目が行きがちで、「良い物を長く使う」という価値観が薄れつつあります。

親世代が大切にしてきた良質な洋服を、私たちも受け継ぎ、そしてまた次の世代へと継承していく。この循環の中にこそ、真の豊かさや美しさが宿るのではないでしょうか。だからこそ、私たち自身も、今後を見据えて「受け継ぐに値する良い物」を選び取っていく意識が必要です。

新しい=良いとは限らない

 ついつい「新しいものは最新で、優れている」と思いがちですが、それが必ずしも良いとは限りません。特にファッションにおいては、近年の洋服の多くが簡素化され、量産に適した作りになっています。その分、仕立ての良さやディテールにかける手間が少なくなっているのです。

バブル期以前の洋服を手に取ると、改めてその仕立ての良さに驚かされます。見えない裏地やボタン、縫製の一つ一つに、職人の丁寧な手仕事が宿っているのです。特にオーソドックスなデザインであれば、多少のリフォームを加えることで、現代の装いにも無理なく取り入れることができます。

トレンドに左右されすぎることなく、自分だけの“時を越える一着”を持つ――そんなヨーロッパ的なスタイルを、私たちの暮らしにも取り入れてみてはいかがでしょうか。

上質な洋服は今、手に入りづらい

 昔の洋服の良さは、生地の上質さと仕立ての丁寧さにあります。決してハイブランドでなくても、当時の国産品は非常に高いクオリティで作られていました。今では同じような生地や作りを求めても、なかなか手に入りませんし、あったとしても高価で手が届きにくいのが現実です。

近年のファッションは、シンプルでミニマルな傾向が強く、装飾やデザイン性に富んだ昔の洋服とはまた違ったテイストです。だからこそ、タンスの中に眠っている上質な一着があれば、ぜひリフォームしてでももう一度袖を通してみてください。

流行を追うのではなく、自分のスタイルを貫く。その凛とした姿勢こそが、周囲にはとても魅力的に映るはずです。

家族の歴史をまとう楽しさ

 私自身、祖母や母の洋服をいくつも引き継いで着てきました。もちろん、すべてを残せるわけではありませんでしたが、特にワンピースなどの「薄物」は、体型に合わせてお直ししやすく、今でも愛用しています。

例えば、母が新婚旅行で着た白いシャギーのコート。私は大学生の頃にそのコートを4年間愛用していました。また、祖母から母へ、そして私へと受け継がれたシルクの刺繍ブラウスは、今でも大切に着ています。母が20代の時に仕立ててもらった透かし模様のワンピースも、ほんの少し現代風にアレンジして着ると、友人から「素敵ね」と声をかけられることも。

本当に良い物は、時代を超えても輝きを失わない――そんなことを、実体験として感じています。

思い出と共に、かたちを変えて受け継ぐ

 洋服を引き継ぐという行為は、単に「物」を残すということではありません。その服に込められた思い出やストーリーも一緒に引き継がれるのです。

私の祖母は20年ほど前に亡くなりましたが、そのブラウスを見るたびに、当時の笑顔や会話を思い出します。母のワンピースを着ると、私のピアノの発表会の時の若い母の姿が脳裏に浮かびます。たとえ、洋服としての役目を終えても、クッションカバーやポーチといった別のかたちに作り変えることで、思い出を日常の中で感じることもできるのです。

そして何より、こうした「物を使い尽くす」という発想は、ゴミを減らし、地球環境を守ることにもつながります。サステナブルという言葉が叫ばれる今こそ、日本人が本来持っていた「もったいない」の精神を見つめ直す時ではないでしょうか。

まとめ

 洋服を引き継ぐことは、単なる節約やリサイクルではなく、想いと共に暮らしを豊かにする知恵です。祖母から母へ、母から娘へと受け継がれる一着の洋服。その中に込められた記憶や愛情を感じながら着ることは、何にも代えがたい喜びです。

私たち自身も、将来誰かに手渡すことを意識しながら、今、どんな服を選ぶのか。その選択のひとつひとつが、未来の誰かを笑顔にするかもしれません。

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